妖精の国からのお知らせ

§3 「みんな」ではなく

不特定多数の「世の中」「みんな」のことではなく,魂におけるあなたの隣人のことを,考えてあげてください。

「みんな」などという人はどこにもいません。ただ,ひとりの魂と,ひとりの魂が,たまさか出会い,すれ違い,隣人となるのです。

銀河の中で地球が孤独な星であるように,人の子の魂も孤独です。

この地球上では,数十億の魂が,星のようにまたたいています。その中で,あなたの魂は,たったひとつの小さな星です。

星は何十億もありますが,あなたは一生のうちにそのうち何人の人と魂において交わることができるのでしょう?

私たちは本当にまれにしか出会えないのだから,出会った人には心からのあいさつを送りなさい。百万光年の孤独の中で思いがけず人と出会ったときのように,喜びあいなさい。抱きしめあい,口づけを交わしなさい。あなたの持っているものでその人が必要としているものがあれば,喜んで差し出しなさい。

人間は肉においては嫌というほど出会いますが,魂においてはいつも離れ離れだからです。

数十億の星々の中で,ふたつの星がすれ違い,一瞬またたきを交わし,また去ってゆくという,このことの不思議を想いなさい。あなたがたが憎しみあったまま別れたら,もう永遠にそのままです。

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いとしいユーラ,このことを逆向きに考えてごらんなさい。

数十億の星々の中で,あなたはたったひとつの小さな星に過ぎません。あなたという星が失われたからといって,この“宇宙”の全体像はほとんど変わらないでしょう。

でも,あなたの隣人である星々から見れば,あなたは星座の中の大事な星です。いちばん明るい星かも知れません。

北極星は,遠い地球で自分が「北極星」と呼ばれていることを知りません。

四百年前,北極星がそうとは知らずにふと放った光が,いま遠い地球に届き,船乗りたちに正しい方位を教えています。

私たちの太陽が放った光も,どこか遠い星で,意外な役割を果たしているのかも知れません。

あなたという小さな星についても,これとまったく同じことが言えるのです。

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「みんな」と争ってはいけません。すなわち,どんな場合でも,不特定多数の人間を敵視してはいけません。その中には,あなたより魂において優れた人もいるかも知れないのです。

争うなら,ある個人に対して,一対一の魂と魂の関係において争いなさい。

その場合でも,穏やかに,敬意をもって,正しい良心で,自分の立場を弁明しなさい。

あなたがたは互いに教材になっています。人生において困難な人と真っ正面からぶつからなければならないとしたら,それはあなたに課せられた課題です。それはあなたの道の障害になる邪魔な石ではなく,あなたの道の本質的な部分をなす他山の石なのです。

だから,その人を憎むのではなく,かえってその人のためを思い,どうすれば互いに高めあえるのかを考えなさい。

その場合でも「あの人は精神的に劣っているから,この私が導いてやるのだ」といった思い上がった気持ちをいだいてはならない。

あなたが知らないだけで,相手は本当は天使かも知れないのです。天使が,あなたを試すために,あなたの右の頬を打ちに行くこともあるのです。

あなたの頬を打った人間は何も知らずにただ自己の劣悪な性根に駆られてそうしただけかも知れません。けれど,あなたの頬が打たれたという「運のめぐりあわせ」は,実際,天の配剤です。

実に,あなたの身にふりかかることで,無意味なことは何ひとつありません。あなたにかかわってくる人間は,みな天使のようなものです。どんなに邪悪な人間でも,それがあなたの隣人となったなら,それは神から与えられた課題であり,深い意味での恵みなのです。

だから,どんな場合でも,他人を憎んではいけません。あなたが誰かを自分より劣ったものとして憎むなら,あなたはその憎しみゆえに低められます。低いものを憎んだからです。それでは5歳児と本気になってけんかする大人のようではありませんか……。

かえって優しさをもって相手に接しなさい。許せない相手を許しなさい。あなたの愛によっていくらかでも相手を向上させるためです。このようなきびしい愛によってこそ,あなた自身も高められるのです。自分を愛してくれる人を愛することなら,誰にでもできます。

他山の石をもって初めて宝石の輝きが完成されるのであれば,あなたは,その他山の石をもまた,かけがえのない至宝とみなさなければなりません。

あなたにかかわってくる人間はすべて,その人の意志とは無関係に,あなたにとっては天使です。

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